外壁塗装の傷みは、自分では意外にわからないものです。なんとなく汚れているような気はしても、それ以上の劣化は、素人目にはなかなか映りません。ただ、専門家に見てもらうと、「そろそろ塗り替えの時期ですね」と言われてしまう…よくあることです。外壁は通常、10年程度で塗り替えます。しかし、条件によっては、それよりも前に塗装が寿命を迎えてしまう場合もあるので、7~8年ほど新築から経過しているようなら、塗装の塗り替えを検討する時期です。この記事では、外壁塗装の耐用年数について考えてみたいと思います。

 

塗装が劣化する理由

塗装の劣化の主な原因は雨風や紫外線です。家は私たちを常にこれらから守ってくれています。その中心的な役割を果たしているのが塗装です。一般的な外壁材や屋根材は、塗装されていないとその能力を発揮できません。ただ、そんな大活躍をしてくれている塗装も、長年、厳しい環境にさらされると劣化していきます。表面が粉を吹いたような状態になるチョーキング現象、カビや藻の発生、クラックなどが代表的な塗装の劣化現象です。

 

塗料により耐用年数は異なる

上記のような現象が出現したら、遅かれ早かれ、塗り替えを行わなければなりません。ただ、塗装の塗り替えは10年周期とはいうものの、そもそもなぜ10年周期で塗り替えるのでしょうか。この理由は塗料にあります。今、もっとも一般的な塗料の耐用年数が10年程度だからです。

最近はさまざまな特徴を持つ塗料が市販されているので、種類ごとに耐用年数や特徴を紹介していきましょう。

アクリル系塗料

アクリル系の塗料は、耐久性は他に劣りますが、建物の耐用年数を考慮せず、短いサイクルで頻繁に塗り替えを行う場合にとても適しています。耐用年数の目安は3~5年ほどです。

ウレタン系塗料

ウレタン系の塗料は、手に入れやすい価格で、しかも施工性がよいことから、以前は外壁塗装の主役的な存在でした。耐用年数の目安は5~7年ほどです。

シリコン系塗料

シリコン系の塗料は、性能と値段のバランスがとれている、今日の外壁塗装に欠かせない塗料です。耐用年数の目安は7~10年ほどです。

フッ素系塗料

フッ素系塗料は、ラグジュアリーな雰囲気を出せる塗料で、一般的な塗料としては最高ランクに分類されています。とても魅力的な塗料ですが、やはり高価なところがネックで、耐用年数は10~15年ほどです。

そのほかにも、あまり一般の住宅には使用されない、高価で高い機能を備えた塗料が存在します。

 

耐用年数は参考

ご紹介してきたように、塗料には耐用年数があります。しかし、これらの耐用年数は、実際の環境でテストされて決められているわけではなく、メーカーが独自に研究をして定めているものです。メーカーは通常、特別な試験機を使って耐用年数を導き出しています。かんたんに言えば、箱の中に雨風や紫外線にさらされるような疑似環境を作り出して行うテストです。そのため、実際の環境で、表示されている耐用年数分、確実に使えるわけではありません。あくまでも目安として考えるべきなのです。

しっかり建物に塗装して耐久性を試験することは、確かに難しいことだと思います。ただ、疑似環境の中で試された結果導き出された耐用年数を額面どおりには受け取れません。条件によっては、早めに寿命を迎えてしまう場合も当然あるでしょう。

日本というひとつの国の中を見ても、北海道と沖縄では大きく気候が異なります。潮風を毎日のように受け止めている海岸沿いの家の外壁、幹線道路脇にあるマンションの外壁なども、塗料は傷みやすいでしょう。とにかく、それぞれの家で条件は異なるため、塗料の寿命が迫ってきたら、まずは自分の目で壁面の状態をチェックして、不安な部分がある場合は、専門の業者に依頼して、適切な処置をとる必要があります。

 

考慮すべき「防水性」

外壁塗装の耐用年数は、あくまで目安だということをご紹介しました。そのため、一般的な住宅の場合は、新築や前回の塗装から7~8年ほど経ったら、外壁面の状態をチェックすることが望ましいのです。

再塗装を行う際は、塗料の耐用年数だけを気にするのではなく、防水性についても考慮しましょう。防水性能の高い塗料は、クラックをカバーし、なおかつ伸縮性が備わっているため、クラックがある程度開いてしまっても、その伸縮性により水の浸入を防いでくれます。

 

お手入れは外壁塗装の耐用年数を延ばす?

よい塗料を使っていても、汚れを放置していると、塗装は耐用年数よりもずいぶん早く寿命を迎えてしまうかもしれません。いつも厳しい環境にさらされている外壁の塗装を長持ちさせるためには、定期的にクリーニングを行うことが大切です。

 

外壁のクリーニング・そのタイミングとは?

外壁のクリーニングを定期的に行うといっても、毎月のようにやらなければいけないわけではないのでご安心ください。年間1~2回ほどで十分でしょう。一般的な外壁材の場合は、汚れが見える場所を中心に水洗いします。

 

外壁クリーニングの注意点

外壁クリーニングを自力で行う際にもっとも大切なことは、無理をしないことです。安全第一で、できる範囲でクリーニングしましょう。

 

・室内への水の浸入に注意

外壁の汚れは水で洗い流します。そのとき、意外にやってしまいがちなのが、窓やドアから水を室内に噴射してしまうこと。換気扇やサッシなども要注意です。できれば養生してから作業を始めましょう。

 

・ブラシはソフトなタイプで

外壁の汚れは、水で濡らしたあとに中性洗剤を使って落としますが、この際に、あまりに硬いブラシを使ってしまうと、塗装面を傷めてしまう可能性があるので、ソフトなものを選んで使いましょう。あくまでやさしくが基本です。

 

・ゴム手袋は必須

洗剤を使うので、ゴム手袋を用意しましょう。カビ取りのために専用洗剤を使う場合は、必須です。

 

・高所で無理をしない

脚立などを使って作業をする場合は、無理しないようにしましょう。事故を防ぐため、なるべく2人以上で作業してください。

 

・条件のよい日を選ぶ

外壁のクリーニング後は自然乾燥させるので、天気がよく、風の弱い日を選んで作業しましょう。

 

やさしくお手入れ

外壁は、塗装を傷つけないよう、やさしくお手入れすることが大切です。

 

・中性洗剤

中性洗剤は、そのまま使用するのではなく、10倍以上に薄めてから使用します。汚れの中には、擦らなくても落ちるものもあります。汚れが頑固な部分にだけ洗剤を使うとよいでしょう。

また、目地やコーキングは、ブラシを使わずに、さらにソフトな雑巾などで汚れを落とします。

 

・高圧洗浄機の使用

広範囲に汚れがある場合は、高圧洗浄機を使ってもよいでしょう。高圧洗浄機が自宅にないという方もいらっしゃると思いますが、最近はホームセンターでもレンタルサービスを行っている場合があるので、検討してみてはいかがでしょうか。

 

周囲のお手入れも大切

外壁のクリーニングやお手入れというと、どうしても外壁そのものに注目してしまいますが、外壁の周囲にも目を向けましょう。たとえば、外壁のすぐ近くに植え込みがあり、常に湿気が溜まりやすい場合は、少しすいてみると通気性がよくなります。また、ゴミ箱などを外壁のすぐ近くに置いている方も多いと思いますが、物を置きっぱなしにするのもあまりよくありません。

 

まとめ

外壁塗装の耐用年数は目安です。耐用年数が近づいてきたら、まずは外壁の状態をセルフチェックしてみましょう。塗り替えを検討するのであれば、耐用年数だけで選ぶのではなく、特に防水性能を重視して塗料を選ぶことをおすすめします。

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